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2021.01.28 【おしえてセンセイ!8】
温暖化を止めるために、なぜ二酸化炭素を減らす必要があるの?

おしえてセンセイ!

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2021.01.28

【おしえてセンセイ!8】
温暖化を止めるために、なぜ二酸化炭素を減らす必要があるの?

A.人々の努力で減らせる数少ない原因物質だからです

工学部材料科学科・源馬龍太先生

地球温暖化のメカニズムは、実はまだよくわかっていません。そんな中、温暖化対策をして「二酸化炭素(CO2)を減らそう」というのが合言葉のようになっています。世界的にCO2の削減が急務とされ、研究や実践が続けられています。その理由は、CO2が原因のひとつになっていることが確かで、我々の努力で減らせば効果があることが明らかだからです。実際には他にもいろいろな要因があり、それらが複雑に絡まりあって温暖化が加速しているのですが、わからないことには対策できません。そのため、わかっているCO2を減らすことが、今できることだとされているのです。

長い地球の歴史をひもとけば、今より暑かった時代や、大気中のCO2が多かった時代、地球全体が凍りついていた時代もあります。今の異常気象は、人間にとって異常というだけで、地球にとってみれば歴史のなかの一幕といえるでしょう。けれど、このまま温暖化に歯止めがかからなければ、私たちにとっての地球環境は、20~30年で修復不可能になってしまう恐れがあるといわれています。

自然界にはもともとCO2があります。CO2は大気や海に溶け込み、自然の循環サイクルのなかで、炭素と酸素にわかれて放出されます。ところが、人間が排出するCO2は量が多すぎました。しかも急激に排出しすぎました。自然界の循環で吸収きれなかったCO2は、地球を包み込む温室効果ガスの一部となり、温暖化を招いているのです。

大気中のCO2を減らすためには、2つのアプローチがあります。放出量を減らすことと、放出されたCO2を処理することです。この2つを同時に進めなければ間に合いません。CO2を生み出さない電気自動車などの開発、工場から排出されるCO2に化学的に手を加えて、炭素だけ取り除けるようにする試み、CO2の地中への貯留などは日本でも試験的に行われています。アメリカでは、大気から二酸化炭素をとりのぞくプロジェクトが実績をあげています。

長い年月の中で今の形になっている環境は、問題を解決するためにも時間がかかります。解決に至らないまでも、答えを見つけるだけでも膨大な時間や知識、労力が必要です。手遅れにならないために、懸命に研究を続けている私たちの世代は、その成果を見ることができないかもしれません。だからこそ今やらなければなりません。次の世代に研究を、そして安心して快適に暮らせる地球を引き継がなければいけません。環境問題に対する答えを見つけるためには、ひとつの視点ではなく、多くの人がそれぞれの研究分野で、複合的な研究を続けていくことが大切です。

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げんま・りゅうた 1978年神奈川県生まれ。東海大学教養学部卒業後、同大学院工学研究科金属材料工学専攻修了。ドイツ・ゲッティンゲン大学物理学部にてDr.rer.nat.(Ph.D.)取得。サウジアラビア・キング・アブドッラー科学技術大学常勤研究員を経て現職。

 

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