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2019.12.05 【おしえてセンセイ! 2】勉強に集中できる照明ってあるの?

おしえてセンセイ!

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2019.12.05

【おしえてセンセイ! 2】勉強に集中できる照明ってあるの?

青っぽい光が集中力を高めるといわれていますが、個人の好みや、その時の気分にもよります。部屋全体の照明のほかに、手元灯(デスクライトなど)をプラスするのがおすすめです。

工学部建築学科・岩田利枝先生

 

 

「~にいい照明」という言葉が出てきたのは、実はごく最近のこと。背景には照明技術の進歩があります。ちょっと前までの蛍光灯や白熱灯は、「つける」か「消す」かだけでした。LEDが開発されてから、光の色や量のコントロールが簡単にできるようになったのです。今では、人間の目では見分けられない波長の調節もできるようになっています。技術の進歩にともなって照明の研究が進められ、2000年代に入ってから新たにいろいろなことがわかり始めてきたのです。

 

たとえば、ブルーライトは目が疲れやすいというイメージがあるかもしれません。LED照明の多くに用いられているブルーライトは光のエネルギーが強いため、長時間見続けると目の疲れや、目の傷みにつながるともいわれています。もちろん、本当に目に悪いとわかっていれば、日常的に使われるはずがありません。ブルーライトの影響を含む人体と照明の関係も、まだまだ研究段階なんです。

 

勉強や仕事の効率が上がる照明は中でも人気の研究テーマです。さまざまな実験が繰り返され、一般的に青みの強い光(色温度が高い)は気持ちを集中させる作用があり、赤みの強い光(色温度が低い)は気持ちをゆったりさせる傾向があることが分かってきました。ただし、新しい分野なので分かっていないことが多いのも事実。さらに明るさ、光の色には個人の好みがあり、目から受ける刺激に対しての感覚も人それぞれ。勉強の時には、こういう光をこのくらい当てると効率がいい、というふうに一概には言えないのです。

 

誰でも勉強する時と食事の時、寝る時などに快適な明るさは違うはずです。大切なのは、自分の好みや心地よさを考えてみること。目が疲れやすいと感じたら、照明の明るさや青みを抑えてみるのもいいでしょう。逆に、勉強や作業をするのに暗すぎて目が疲れるということもあります。勉強や作業の時には、部屋全体の明かりの他に、周囲よりも明るめの手元照明をプラスするのがおすすめです。

(プロフィル)

いわた・としえ

1955年東京都生まれ。79年に早稲田大学理工学部応用化学科を、92年に早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻博士課程を単位取得後退学。財団法人ヒューマンサイエンス振興財団流動研究員、カナダ国立研究所客員研究員、オランダデルフト工科大学建築学部客員研究員などを経て。98年東海大学建築学科に着任。日本建築学会学会賞(論文)、空気調和・衛生工学会学会賞(技術賞)などを受賞

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