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2021.12.15 【おしえてセンセイ11】
お金の偽造防止技術はどうやって開発されているの?

おしえてセンセイ!

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2021.12.15

【おしえてセンセイ11】
お金の偽造防止技術はどうやって開発されているの?

身近な技術を組み合わせながら進められています

 

工学部 光・画像工学科 前田秀一先生

今年9月、2024年から流通予定の1万円札の印刷が始まり、11月からは新500円玉の流通し始めました。これらのお金には最新の偽造防止技術がふんだんに使われています。たとえば新1万円札には世界で初めて3Dホログラム技術が導入され、光を透かすと模様が見えるすき入れ技術も、旧札よりもさらに高度なものが使われています。日本のお札で使われている偽造防止技術で世界でも最もレベルが高く、最も偽造しにくい紙幣として世界的に知られているのです。

では、こうした偽造防止技術はどのように開発されているのでしょうか? 実は私たち研究者が日々積み重ねている印刷技術研究の成果を組み合わせる形で活用されています。しかもその一部は、皆さんの生活を便利にするためにも使われているのです。たとえば、最新技術としては「スクリーンコード」があります。紙やプラスチックなどに肉眼では見えないインクでQRコードのようなものを印刷する技術なのですが、絵本や商品のパッケージなどにも使われています。絵本や英語、図鑑などの子ども用教材で、画像の上にスマートフォンなどをかざすと音声や動画が表示されるものを見たことがありませんか? そこで使われているのがスクリーンコードです。

私の研究室でも、「カポック」という植物の繊維と特殊インクと組み合わせて機能性材料を作る技術や赤外線を当てたときにだけ画像やコードが浮き出る金属などを研究しています。このうち、カポックを使った機能性材料は、蛍光塗料や温度が変わると色が変わるインクなどを繊維の中に漉き込むことができます。実際、中国やペルーの紙幣では蛍光繊維を紙の中に漉き込む技術が使われていて、同じような形での活用が期待できます。将来さらに研究が進めば、手で温めると色が変わるおもちゃなどにも使えるかもしれません。

印刷技術は、偽造防止はもちろん、世の中を楽しくしたり、便利にするためにも広く活用されています。最近は、電子ペーパーなどデジタル技術と組み合わせた技術の開発も進んでおり、まさに日進月歩です。これからも学生たちと協力しながら、世の中の役に立つ技術をどんどん生み出していきたいですね。

【光・画像工学科紹介サイト】

http://www.ef.u-tokai.ac.jp/

 

 

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