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2020.05.12 【おしえてセンセイ!5】
モビリティってこれからどうなるの?

おしえてセンセイ!

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2020.05.12

【おしえてセンセイ!5】
モビリティってこれからどうなるの?

A.自動車をいろいろなものにつないで便利に使う時代がやってきます。

工学部動力機械工学科 加藤英晃先生

 

ほんの数年前まで、「モビリティ」といえば「自動車」のイメージでしたが、最近はスマートモビリティやモビリティ革命という言葉が飛び交うようになっています。各メーカーは、移動手段の枠を超えた「何か」をめざして模索を続けています。

「衣食住」の次にくるのが「動」であると言われるくらい、自動車は今の生活に欠かせないものとなっています。背景にあるのは、不便さを解消するために、乗り心地や安全性の向上をめざして技術を発展させてきた歴史です。移動手段の「便利さ」という意味では、技術的に限界まで来ていると言っていいかもしれません。自動車関連の最新技術や近未来のモビリティを提案する「東京モーターショー」でも各企業が自動運転、IoT装備の車を展示していますが、これは移動手段の枠を超えて技術に付加価値をつけようという動きのあらわれです。

その一例がフィンランドで始まった「Mobility as a Service(MaaS)」でしょう。バスや鉄道、カーシェアリングと組み合わせて効率的な運用をする取り組みで、利用者はスマートフォンなどを使って出発地と目的地を設定すれば、最も効率的な移動方法を選ぶことができ、しかも代金をまとめて払うことができます。IoTやスマートフォン、キャッシュレス決済などを組み合わせたこの技術は世界中で導入の動きが広がっています。MaaSが本格的に利用されるようになると、自動車は所有するものではなく、電車やバスのような公共交通の一部となり、自動車に求められる性能や機能も大きく変わってくるでしょう。将来的には自動車同士だけでなく、他の交通機関やインターネットを介したサービスとつながりながら動く、そんな時代がやってくると思います。

実際、自動車に何を求めるかも多様になっています。単に移動手段としてとらえる人、高い安全性能を求める人、快適性を重視する人……。すでにメーカーの中には自動運転だけでなく、マッサージ機能がついた運転席やシートヒーター、アロマの香りが漂う仕様の自動車を販売しているところもあります。そうした車を購入して、一人でリラックスする場所として活用する人もいるなど、使い方も変わってきているのです。その流れは、今後さらに加速していくと思います。

これからの時代の「モビリティ」を考えるうえで大切なのは、「技術をどのように開発するか」だけでなく、「どのように使えるのか」という視点だと思っています。私の研究室では、機械や電気、磁気、音響、制御技術を組み合わせて「人と環境にやさしい乗り物」を研究していますが、これからもさまざまな技術と自動車を融合させて、次の未来の「モビリティ」を考えていきたいと思います。


かとう・ひであき 1986年東京都出身。東海大学大学院総合理工学研究科修了。博士(工学)。2014年より現職。専門は生体計測工学、心理工学、メカトロニクスなど。

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