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2020.02.06 【おしえてセンセイ! 3】5Gが導入されると私たちの生活はどう変わるの?

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2020.02.06

【おしえてセンセイ! 3】5Gが導入されると私たちの生活はどう変わるの?

A.意識しなくても情報が送られてくる時代になります。

電気電子工学科・稲森真美子先生

 

 

5G(第5世代移動通信技術)は世の中を大きく変える技術です。現在使われている4Gと比べても、20倍ほど高速・大容量化されます。しかも大量の機器を同時(4Gの100倍!)にインターネットに接続でき、データ通信の待ち時間もほとんどなくなります。これまで、スマートフォンでYoutubeを見る時に感じたイライラはまず感じなくなるでしょう。

でもこれだけでは、「世の中を変える」とは思わない人もいるかもしれません。ところが、他接続と低遅延が実現することのメリットは、ものすごく大きいのです。例えば自動車の自動運転を想像してください。安全に運転するためには自動車が常にネットにつながりながら、周囲を走る車と交信し、かつ走っている位置や適切な速度を判断して道路を走行しなければなりません。高速道路を走っているときに、通信が途切れたら大事故になってしまいます。現在、遠隔地同士をネットでつないで行う遠隔手術の研究も進んでいますが、そうした技術の実現には5Gが欠かせません。

5Gが普及すると、身近な生活も変わっていきます。さまざまなものがインターネットにつながることを「Internet of Things(モノのインターネット)」といいますが、5Gの導入によって「意識しなくても情報が手元に届けられる時代」になるのです。家から外出しようとすると「「今から雨が降るよ」と玄関に置いたスピーカーから情報が飛んできたり、よく行くお店の前を通るとお得情報がイヤホンや時計内臓のモニターに表示されたり、駅に着いたら次の電車の空いている号車の情報が送られてきたり……。自分の生活に情報が先回りして送られてくる、そんな近未来の世界が実現します。

このように革新している通信技術だからこそ、研究すべきこともたくさんあると思っています。その一つが、通信の制御技術です。5G時代にはこれまで以上に大量の情報が同時に飛び交うようになる分、どの情報をどの回線で送受信するかを適切に管理することが大切になります。私の研究室では、AI(人工知能)を使って通信を制御しようと考えています。スマホのない生活が考えられないように、通信技術は人々の生活には欠かせない存在になっています。だからこそ、安全を守らなければなりません。通信網への負荷が少なく安定した通信を実現するため、端末自身が判断して自動で制御できる。そんなシステムづくりを目指しています。


いなもり・まみこ 1982年鹿児島県生まれ。2009年9月慶應義塾大学大学院理工学研究科デザイン工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同大学工学部電子工学科助教、ソニーコンピュータサイエンス研究所客員研究員を経て2013年4月から東海大学講師。専門は無線通信、無線電力伝送など。電力工学と通信工学を融合し、省エネルギーに貢献する社会インフラの実現を目指した研究を行っている。

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