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2020.02.19 KISTEC Innovation HUB 2019 in Ebinaで受賞
工学研究科電気電子工学専攻2年・阿部裕太さん

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2020.02.19

KISTEC Innovation HUB 2019 in Ebinaで受賞
工学研究科電気電子工学専攻2年・阿部裕太さん

大学院工学研究科電気電子工学専攻2年次生の阿部裕太さん(指導教員=光・画像工学科 前田秀一教授)が11月22日に、「KISTEC Innovation Hub 2019 in Ebina」のポスター賞を受賞しました。

【受賞概要】

「KISTEC Innovation Hub 2019 in Ebina」(主催=地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所)は、研究・技術開発の成果発表や支援事例の紹介を通して、産学公の交流と連携を促すことを目的に毎年行われているもので、昨年は10月に開催されました。ポスター賞は、交流会参加者の中から若手研究者による優れた発表に贈られており、阿部さんのほか5名が受賞しました。

【受賞テーマと概要】

「金属ニオブ上に形成した酸化ニオブ薄膜による干渉色の混色」

ニオブは酸化すると色が変わる性質を持っているレアメタルで、薄膜状にして金属の表面に塗布(加飾)すると、薄膜が光を選択的に反射してさまざまな色に輝く干渉色を生み出す性質を持っています。一般に用いられているインクに比べて紫外線を照射したり、高温下に置いたりしても変色しにくい性質を持っているため、新しい加飾技術として期待されています。その一方で、これまでの加工法では、1枚の金属上に単色しか表現できないという限界がありました。

今回受賞した研究では、ニオブを使って複数の色を表現する方法を提案。金属板の一部をマスキングしたものに光を当てて模様を印刷するフォトリソグラフィーの手法を応用し、美しい光沢を保ちつつ1枚の金属板上でさまざまな色を表現することに成功しました。これによって、アクセサリーなどの表面を加飾する新しい手法としての可能性が広がると期待されています。

【受賞のコメント】

交流会に参加するにあたって、研究内容をできる限りわかりやすく伝えたいと思い、何度も後輩たちからアドバイスをもらって修正を重ねてポスターを作ったので、授賞は本当にうれしく思います。

―このテーマを研究したきっかけは?

3年時に研究室を選ぶ際に、先輩から見せてもらったニオブの薄膜干渉色を『きれいだな』と思ったことがきっかけでした。加工技術に関する研究なので、実験の結果が数値ではなく、目に見えますし、うまく手法が確立できれば社会の役にも立ちやすいのがこのテーマの魅力だと感じています。実際今回も、企業の方などにも興味を持ってもらうことができ、ニーズのある研究なのだとあらためて実感できました。

また今回提案した手法は、ニオブ以外の金属を使った加飾にも応用できるものですし、色のバリエーションもさまざまに変えられるのでとても大きな可能性があると感じています。

―研究を通して学んだことはなんですか?

事実は数字だけでは測れず、しっかり解釈しないと意味がないことを学びました。

例えば私の研究で扱っている「色」の見え方は、周囲の照明の色や明るさだけでなく、それぞれの人の色覚によって変わってきます。そのため、薄膜に光に当てた時にデータ上は特定の色になっているはずでも、私の目で見ても「違う」と感じることもありました。そうした時には、数値をよく読み込んで、データの意味を自分なりに正しく読み解いていくことが重要になります。

また、この技術がどう社会の役に立つのかを常に考えるべきであることも、先生から学びました。自分の研究が人々の生活にどう貢献できるのかをアピールできれば、多くの人に関心を持ってもらい、自分の技術を輝かせることもできます。でもそれができなければ、ただ「面白いね」だけで終わってしまう。それでは、努力も報われません。だからこそ、研究と社会の接点をいつも考えるようにしています。

―今後の抱負を教えてください

この研究は、前田先生の研究室で長年取り組んできた成果がベースになっています。そのため研究蓄積も多く、私自身も先輩たちが残してくれた論文に何度も助けられてきました。私も自分の成果をしっかりと論文にまとめ、伝統的な研究に厚みを加えたいですね。

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