〉〉東海大学オフィシャルサイト
東海大学 工学部 School of Engineering Tokai University MENU
TOP > 学校生活 > 

2023.08.12 日本原子力学会シンポジウムのパネルディスカッションに登壇
大学院工学研究科応用理化学専攻1年次・地井桐理子さん

学校生活

CLOSE

2023.08.12

日本原子力学会シンポジウムのパネルディスカッションに登壇
大学院工学研究科応用理化学専攻1年次・地井桐理子さん

大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生の地井桐理子さんが、8月12日に東京大学本郷キャンパスで開催された日本原子力学会シンポジウムのパネルディスカッションに登壇しました。シンポジウムは、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉により発生する放射性廃棄物の取り扱いやエンドステート(最終的な状態)について、将来を担う学生を交えて討論し、その内容を広く共有することを目的としたものです。当日は、「現状の放射性廃棄物の管理・処分概念と1Fの廃棄物の課題」と題した講演に続いてシンポジウムが実施され、原子力やエネルギー環境などを学ぶ地井さんら学生と報道関係者が登壇しました。

 

工学部在籍時から若杉圭一郎教授(応用化学科)の研究室で高レベル放射性廃棄物について研究を続けている地井さんは、「原子力発電所の廃棄物管理の望ましい形は?」「廃炉後にどんな未来があったらいいと思いますか?」といった問いに対し、自身の研究や経験をもとに意見を述べました。福島第一原発の事故に伴う除染で発生した除去土壌について、「汚染された除去土壌は隣接する中間貯蔵施設に一時保管されており、政府は保管を始めた2015年から30年後の2045年には福島県外の最終処分場に搬出するとしています。昨年、環境省が主催する除去土壌再生理解醸成ワークショップに参加した際に、除去土壌の入ったフレコンバックが積み上がっている様子や、米や花を育てている再生土壌の現場を見るまで知らなかったことが多くありました。これらの廃棄物管理は社会的な認知が低く、福島県の人たちだけの問題になっている」と指摘しました。また、「専門家の言葉と一般の人が受け取る印象のギャップをどのように埋めていくか、理屈は理解できても心情的に許せないという人や東日本大震災後に生まれた世代へのアプローチ方法も考えなければなりません。現地ではあらゆる分野の専門家が集まり、最先端の研究が進められています。正しい知識を広め、自分事として考えてもらえるように研究や情報発信に取り組んでいきたい」とまとめました。

 

指導に当たる若杉教授は、「30年後に福島県外に最終処分場をつくるというニュースは報道されていますが、知らないという若い世代も多く、実際にそうなったときに混乱を招くでしょう。原子力の専門家だけでなく、幅広い分野の人々を結び、解決策を導き出す、特殊で最先端の研究に取り組む地井さんが、今回のように中立的な観点で知識や経験、情報を発信することで、誰か一人でも気づきを得てくれれば大きな一歩になるはずです」と期待を寄せています。

トップへもどる